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護岸工事の種類と工法!海岸線を守る技術の最前線

三重県熊野市を拠点とする株式会社川上組では、創業70年以上にわたり河川改修工事・河川砂防工事・海岸工事・護岸工事などを手がけてまいりました。熊野灘と七里御浜に面した熊野市は、台風や高潮による被害を受けやすい地域として知られており、護岸工事は地域の安全を守る重要な役割を担っています。近年、気候変動による災害の激甚化に伴い、護岸工事の技術はめざましい進歩を遂げています。
 

 

護岸工事の基礎知識


護岸工事は、水の力による侵食から陸地を守るために必要不可欠な土木工事です。河川や海岸線の安定化を図り、背後地の住民の生命と財産を保護する重要な役割を担っています。
 

護岸工事の概念と目的

護岸工事とは、河川や海岸において、流水や波浪による侵食から岸を保護するために設置される構造物の建設・改修工事のことです。具体的には、コンクリートブロック、石積み、鋼材などを用いて、水際の法面を覆うような構造を築きます。

護岸工事の主要目的
具体的効果
侵食防止
流水や波浪による河岸・海岸の削り取りを防止
洪水対策
河川の氾濫による浸水被害の軽減
高潮・津波対策
海岸地域の浸水被害防止と減災効果
地盤安定化
背後地の地盤沈下や液状化現象の抑制

護岸工事の設計においては、水理学的検討、地盤調査、環境影響評価などを総合的に行い、現地の条件に最適な工法を選定することが重要です。
 

現代社会における護岸工事の重要性

近年の気候変動により、集中豪雨や台風の大型化が頻発し、護岸工事の重要性はますます高まっています。国土交通省による水害統計では、平成23年から令和2年までの10年間で、全国1,741市区町村のうち97%を超える市区町村で何らかの水害が発生しています。

重要ポイント
気候変動の影響により、これまでの設計基準を上回る豪雨や高潮が発生する可能性が指摘されています。そのため、将来の気候変動を見据えた新しい設計基準の導入や、既存護岸の補強・更新が急務となっています。

また、高度経済成長期に建設された護岸構造物の老朽化も深刻な課題となっており、予防保全型の維持管理への転換が求められています。
 

護岸工事の種類と分類

護岸工事は、施工場所や目的に応じて多種多様な工法が開発されています。大きく分けて河川護岸工事と海岸護岸工事に分類され、それぞれ異なる技術的特徴を持ちます。
 

河川護岸工事

河川護岸工事は、流水による侵食から河岸を保護し、河道の安定化を図る工事です。流速や水位変動、河床材料などの河川特性に応じた工法選定が重要となります。

工法名
特徴
適用条件
コンクリートブロック工法
プレキャスト製品使用、施工性良好
中流域、都市河川
張り石工法
自然素材使用、景観良好
山間部、清流域
現場打ちコンクリート工法
一体的構造、耐久性高
大河川、高流速区間
植生護岸工法
生物多様性保全、環境配慮
低流速区間、自然河川

参照:国土交通省中部地方整備局「河川構造物設計要領」
三重県内では、河川の勾配や流量に応じて、これらの工法を適切に組み合わせて施工されています。特に熊野地域では、急峻な地形と豊富な降水量により、高い耐久性を持つ工法が求められます。
 

海岸護岸工事

海岸護岸工事は、波浪や高潮、津波から海岸線を保護する工事です。潮汐による水位変動や塩害などの海洋環境に対応した特殊な技術が必要となります。
三重県の海岸線は約1,083kmに及び、このうち約526km(49%)が海岸保全区域に指定されています。伊勢湾沿岸は遠浅の砂浜海岸、熊野灘沿岸はリアス式海岸と直線的な砂礫海岸という異なる特性を持ちます。

海岸タイプ
主要工法
設計上の留意点
砂浜海岸
離岸堤、突堤、養浜工
砂の移動、海浜変形
岩礁海岸
消波ブロック、直立護岸
波の反射、越波対策
河口部
河口導流堤、水門
河川流と海岸流の影響

参照:三重県「海岸の保全・整備」
 

 

最新工法と技術革新

護岸工事の技術は、環境保全や施工効率の向上を目指して継続的に進歩しています。従来工法の改良と併せて、新しい材料や工法の開発も活発に行われています。
 

従来工法の進化

従来のコンクリート工法においても、材料技術の向上により性能が大幅に改善されています。高強度コンクリートの開発により、構造物の薄肉化と長寿命化が実現され、維持管理コストの削減にも寄与しています。

技術革新
近年注目されている技術として、GPS測量やドローンを活用した3次元設計・施工管理システムがあります。これにより、施工精度の向上と工期短縮が実現され、品質の安定化にも大きく貢献しています。

また、プレキャストコンクリート製品の品質向上により、現場での施工品質のばらつきが減少し、均一で高品質な護岸構造物の構築が可能となっています。
 

環境配慮型工法

生物多様性の保全と防災機能の両立を目指す「多自然川づくり」の理念に基づき、環境に配慮した護岸工法が普及しています。これらの工法は、魚類の遡上や水生生物の生息環境の保全に寄与します。

環境配慮工法
環境効果
適用事例
植生護岸工法
生物生息環境の創出、CO2吸収
中小河川、親水公園
多孔質コンクリート工法
水質浄化、生物付着基盤
都市河川、港湾内側
自然石積み工法
景観保全、魚類生息場
山間河川、歴史的地区

 

三重県の護岸工事事情

三重県は伊勢湾と熊野灘に面し、多様な海岸環境を有しているため、地域特性に応じた護岸工事が必要となります。特に熊野市を含む東紀州地域は、台風の常襲地帯として知られており、強固な護岸構造物の整備が不可欠です。
 

熊野地域の特徴

熊野市以南の海岸は、七里御浜として知られる約20kmの直線的な砂礫海岸となっており、高波や台風による侵食が課題となっています。この地域では、消波ブロックによる護岸工事が主要な対策として実施されています。
また、河川では急峻な地形により流速が速く、豪雨時の水位上昇が激しいため、耐久性の高いコンクリート護岸工事が多く採用されています。熊野川水系では、大型台風による甚大な被害を受けた経験から、計画高水位を見直した護岸の整備が進められています。
 

管理体制と課題

三重県では、所管に応じて複数の部局が海岸管理を担当しています。県土整備部港湾・海岸課が約308km、水産基盤整備課と農業基盤整備課がそれぞれ所管する海岸の護岸工事を管理しています。

管理機関
所管延長
主要業務
港湾・海岸課
約308km
一般海岸・港湾海岸の保全
水産基盤整備課
漁港海岸
漁業関連施設の保全
農業基盤整備課
農地海岸
農地保全のための海岸整備

参照:三重県「港湾・海岸」
地域の建設会社である株式会社川上組では、これらの各機関と連携しながら、熊野市・御浜町・紀宝町を中心とした東紀州エリアにおいて、地域の特性を熟知した護岸工事を提供しています。
 
現在、三重県では海岸保全施設の老朽化対策が重要な課題となっています。昭和34年の伊勢湾台風以降に整備された多くの施設が更新時期を迎えており、計画的な維持管理・更新が求められています。また、南海トラフ巨大地震に備えた耐震性能の向上も急務となっています。
 

護岸工事技術の発展と今後の展望

護岸工事は、従来の防災機能に加えて、環境保全と景観配慮を両立させる技術として発展を続けています。三重県熊野市のような台風常襲地域では、気候変動による災害の激甚化に対応できる、より強靭で持続可能な護岸技術の開発が重要です。
 
最新の護岸工事では、IoTセンサーによる構造物の健全性モニタリングや、AI技術を活用した維持管理計画の最適化など、デジタル技術の活用が進んでいます。これにより、予防保全型の管理へと転換し、ライフサイクルコストの削減と安全性の向上を同時に実現することが可能となっています。
 
また、地域の自然環境と調和した工法の採用により、護岸工事は単なる防災施設の整備から、地域の魅力向上に貢献する社会基盤整備へと役割を拡大しています。株式会社川上組では、70年以上にわたる地域密着の経験を活かし、熊野地域の豊かな自然環境と調和した護岸工事の提供に努めています。
 
三重県東紀州地域における護岸工事は、美しい熊野灘の海岸線と七里御浜の景観を保全しながら、住民の安全・安心を確保する重要な使命を担っています。今後も技術革新を取り入れながら、持続可能で効果的な護岸工事の推進が期待されます。
 

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株式会社川上組
〒519-4324 三重県熊野市井戸町548番地の6
電話:0597-85-2343 FAX:0597-89-1894
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